ステークホルダー・ダイアログ:生物多様性
将来世代との対話
ダイアログテーマ:「生きものたちの価値を知り、守り、残すためには、何ができるのか、何をすべきか?」
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2008年3月28日、新たな試みとして、「将来世代」と「生物多様性の保全」をテーマにダイアログを行いました。「将来世代」からの参加者は、「第24回 自然は友だち わたしの自然観察路コンクール」の最優秀・優秀賞を受賞した中高生7名、「大人世代」からは、社外有識者3名と富士フイルムグループ社員3名です。
パート1 生きものたちの状況は? ─現状の共有
「今、生きものたちの状況をどのぐらい深刻と感じているか」について、まず現状を参加者で共有しました。意見を出し合った結果、生態系の異変、自然破壊、地球温暖化の進展などにより、地球規模で深刻な状況にあるという認識を共有しました。
パート2 分からないこと・分かっていること
生きものを巡る問題について、個人的に分からないことや知りたいことを挙げ、有識者からの解説を交えながら、その答えを探りました。
「分からないこと」(抜粋)
- 生物種の数は?
- 外来種・帰化植物の駆除や増殖を食い止める方法は?
- 自然の最終的な責任者は誰?
- 破壊された自然の再生は可能なのか?
- 先進国は、どのくらい生活レベルを下げればいいのか?
- 法律では自然は守れないのか?
- 20年前の自然がどうだったかは、分からない。
- 今起きている自然破壊を止めれば、地球は本当に再生できるのか?
パート3 今わたしたちができること、すべきことは?
生きものたちの価値を知り、守り、残すためには、「何ができるのか、何をすべきか」について、互いに課題を探りできることの提案を出し合いました。
抽出された3つの「できること」
- 自然に親しみ、好きになる、体感する機会を増やす。
- 「足るを知る」消費者になる。グリーン・コンシューマーとして、日常生活で環境に配慮した商品を選ぶ。
- 先を見据えて、行動。できることからアクションを起こす。そして、あきらめず、希望を持つこと。
「わたしたちがすべきこと」の提案
- グリーン・コンシューマーなどの環境配慮の活動や意識を身近な人に伝え、広めるには?
- 自分でやってみせる。まずは身近なことから始める。
- 具体的な成果を相手に見せる。
- 学校などで、世代間を越えて、長期的に取り組む。
- エコバックなど、「エコがかっこいい!」のブームを作る。
- もっと自然に親しみ、好きになるために、誰を巻き込んだらいい?
- 家族や友だち
- 小さい子どもが興味を持つ「虫」をテーマにして、自然と触れ合うといい。
- 富士フイルムグループにしてほしいことは?
- フィールドスコープや顕微鏡の貸し出し
- 全国の生物部への支援
- 自然をテーマにした写真コンテストの実施
- デジカメの使い方講座と併せた自然観察ツアーの実施
- コンビニでのデジカメプリントで、自然観察をテーマにした写真の代金の値引
- 廃校などを利用して、文化・伝統を守り、自然に触れ合うワークショップの開催
- 社員にマイ箸を持たせ、割り箸の廃止など
ご参加いただいた社外の方々
- ファシリテーター:青木将幸さん
- ファシリテーション・グラフィック:志賀壮史さん
[将来世代](「第24回自然は友だちわたしの自然観察路コンクール」最優秀・優秀賞の受賞者の方々)
- 札幌市立手稲中学校 菅原紗也香さん
- 白陵中学校 井上千華さん
- 淳心学院中学校 村山貴洋さん
- 東京農業大学第一高等学校 許田和暉さん
- 中央大学附属高等学校 北野朋美さん
- 兵庫県立大学附属高等学校 勢納亮太さん
- 兵庫県立大学附属高等学校 中西勇介さん
[大人世代]
- 環境省 自然環境局総務課 自然ふれあい推進室長 岡本光之さん
- 資源・環境ジャーナリスト 谷口正次さん
- WWFジャパン広報担当 大倉寿之さん
有識者との対話
ダイアログテーマ:「生物多様性─富士フイルムグループの関わり」
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2008年5月15日、3月28日の「将来世代との対話」に引き続き、「有識者との対話」を開催しました。生物多様性に関わる先進的に活動している社外有識者の方々8名と、富士フイルムグループから4名が参加しました。富士フイルムホールディングスから、グループとしての「生物多様性」の考え方、取り組み計画の全体像が説明され、さらにグループ内で実施した「生物多様性アンケート」の結果や、「将来世代との対話」の概要報告の後、本題の議論へ入りました。
ご意見の紹介
- 生物多様性とは「地球上のあらゆる生命の総体であり、生物種、生態系、そして生態的プロセスの一切」を意味し、「経済的価値」「生態系サービス」「存在価値」を我々に提供している。企業は本業でも、また事業に関わらない部分でも生物多様性の保全にいかに取り組むかが重要な課題。
- 生物多様性の低下は、企業の持続的成長にとってリスク。サプライチェーン全体での、生態系への影響や享受している生態系サービスの把握と、将来的なビジネスリスクの分析・検討から、今後の方針策定が見えてくる。
- 「低炭素、循環型、自然との共生を実現する社会」への期待はますます大きくなっている。生物多様性を社会貢献として取り組む場合でも、それこそが本業であるという認識を持ってほしい。生物多様性に関わりのない企業はない。
- 長期の時間軸を持つことが必要。企業は、半期や四半期などで経営成果の分析・評価に慣れているため、20年前の自分達を振り返る、20年後のリスクを想定するという発想がないかもしれない。生物多様性の時間のスパンは、通常の事業活動におけるスパンとは、根本的に違う。
- 事業展開において、単純化は多大なリスクにつながる。オプションを多く持ち、多元化を取り戻して行く必要がある。従来の一点豪華主義の強みを持つ企業が経営的にも強いという時代は終わった。
- 10年先、20年先の見えないリスクを、現在のリスクとして設定できるか。これが差となる。
- 資源をどう長持ちさせ、うまく使うかという研究開発にも取り組むべき。原油だけでなく、代替エネルギーも考慮している企業が圧倒的に優位になる。枯渇資源に依存している製品を持つ企業のリスクは絶大であり、逆に生物資源の製品を持つ企業は競争力につながる。
- 富士フイルムはフィルムや液晶フィルム製品で、トリアセテートやセルロースなど生物資源を主要材料としている製品で収益を上げているが、これまで「生物資源の恩恵」という概念がなかった。改めて考えてみたい。
- 生物多様性のリスクは可視化しにくいため、企業には危機感がなく、ゆっくりと進めたくなるだろうが、そのリスクは瞬時に勃発し、発生すると一番危険なリスクになり得る。今は、そのような状況になってしまった。見切り発車でもすぐにスタートした方が良い。その際、ひとつの価値にこだわるのではなく、レーダーチャート的発想をもっていかないと、多元的価値は入れられない。生物多様性に王道はなし。
- PES(Payment for Ecological Services=生態系サービスへの対価)という概念がある。自然から恩恵を享受しているものを価値評価するもの。具体的な指標を使って、分析できると、企業は動きやすい。
- 森林には木材調達だけでなく、保水機能による水害防止機能もあるように、自然資源の多角的機能を把握していかなくてはならない。
- 日本の場合は特に哲学が必要に思う。「なぜ我々は、やらなければいけないのか」の哲学。基盤となる哲学がないと、経営状態に振られ、活動が消えたりして、結局、継続しない。
ご参加いただいた社外の方々
- ファシリテーター:IIHOE「人と組織と地球のための国際研究所」代表川北秀人さん
[外部有識者]
- 青木将幸ファシリテーター事務所 青木将幸さん
- 株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役 足立直樹さん
- WWFジャパン 業務室法人グループ長 粟野美佳子さん
- 武蔵工業大学環境情報学部 准教授 伊坪徳宏さん
- 環境省 自然環境局総務課自然ふれあい推進室 長岡本光之さん
- 株式会社 大和総研 経営戦略研究所 主任研究員 河口真理子さん
- コンサベーション・インターナショナル日本プログラム代表 日比保史さん
- 独立行政法人経済産業研究所 コンサルティングフェロー 藤井敏彦さん
生物多様性ステークホルダー・ダイアログを終えて
![[写真]ファシリテーター:青木将幸ファシリテーター事務所 青木将幸さん](pack/images/creature_img_03.jpg)
ファシリテーター:
青木将幸ファシリテーター事務所
青木将幸さん
将来世代(中高生)とのダイアログに関わった率直な感想を述べると「後生、畏るべし」という言葉が浮かんできます。将来世代の発言や問いかけは、率直かつ根幹に迫るものがありました。同時に将来世代の発言に、一人の大人として、真剣に向き合った社員の姿勢から伝わったものも大きいのではないかと 感じています。また、5月のダイアログにおいては、「生物多様性について、詳しいことは分からないなりにも、力を尽くしてやっていこう」という富士フイルムグループの覚悟を感じました。皆さんの取り組みに今後ともエールを送ります。
まとめ
2008年の「生物多様性」をテーマにしたダイアログは、これまでの「勉強型」から一歩踏み込んだ「実践型」への移行が特色でした。「将来世代」および「有識者」の両ダイアログも、このテーマをどのように富士フイルムグループの事業の中に織り込むことができるのかという視点から出発しています。このような姿勢は、ダイアログを活性化させ、すべての参加者が学びを得る機会と、富士フイルムグループの取り組みに多くの示唆を与えてくれました。これからも、ダイアログを継続し、ご指摘を真摯に受け止めていきます。




