ページの先頭です
ページ内移動用のリンクです
サイト内共通メニューへ移動します
本文へ移動します


ここからサイト内共通メニューです
サイト内共通メニューをスキップしてサイトの現在地表示へ移動します

サイトの現在地を表示します
サイトの現在地表示をスキップして本文へ移動します


第三者意見

 

[写真]株式会社日本総合研究所 理事 足達 英一郎 氏

株式会社日本総合研究所
理事
足達 英一郎 氏

プロフィール
1986年一橋大学経済学部卒業後、1990年株式会社日本総合研究所入社。
経営戦略研究部、技術研究部を経て、現職。
企業の社会的責任の観点からの産業調査、企業評価の業務を統括。
2005年3月~2009年5月、ISO26000作業部会日本エクスパート。
現在、環境省「環境情報と企業価値に関する検討会」委員も務める。
共著書に『投資家と企業のためのESG読本』(2016年、日経BP社)など。

本書でも冒頭に記述されている、富士ゼロックスの海外販売子会社における不適切会計の報道を2017年4月に初めて耳にしたとき、大きな衝撃を受けました。社会的責任の観点からの企業調査を長年、業としていながら、優れた会社を見極める能力の不足を改めて痛感したからでした。

持続可能性(サステナビリティ)は、企業の永続性の追求を意味する言葉ではありません。「将来世代のニーズを満たす力を損なうことなく、現在世代のニーズを満たすこと」を前提に、地球と社会の永続性を意味する言葉です。企業がこの言葉を掲げるとき、それは、自らの意思決定や活動が社会や環境に及ぼす影響に対して、透明かつ倫理的な行動を通じて責任を担うことを宣言することに他なりません。ここで言う「影響」には「好影響」とともに「悪影響」も含むと解すべきでしょう。同時に「将来世代」のためには、ときに「現在の利益極大化」を踏みとどまる覚悟を表明するものでしょう。ルールを無視した売上至上主義が容認されていたとすれば、持続可能性とは対極にあったと言わざるを得ません。

今回、策定された新CSR計画「SVP2030」は、SDGsやパリ協定など、グローバルな社会課題解決に向けた目標達成を目指し、バックキャスティングによる長期目標を設定した画期的なものであり、その意欲と内容は高く評価できます。他方で、環境配慮設計、法令順守、地域社会への貢献など社会からの要請に対し責任を果たすという「受身の姿勢」ではなく、社会課題の解決を念頭に、価値ある商品やサービスを提供することが、企業が果たすべき本当の責任であるとの認識に、仮に偏りすぎるのだとすれば、そこに危うさを感じないわけではありません。

本書を通読して得た印象も、その点に通底しています。「SVP2016」の活動報告において自己評価の基準がやや分かりにくい点がありました。トータル・ヘルスケア・カンパニーを目指すからこそ、再生医療をはじめとして最先端の技術が孕む倫理的課題にどのような姿勢を有しておられるのかを知りたいと感じました。環境汚染物質の排出量が必ずしも低減傾向にないこと、また化学物質排出削減についても進捗が詳細に報告されていないことは気になりました。さらに、連結企業範囲に対して、富士フイルムと富士ゼロックスの事例が中心に報告されていること、連結従業員比率でも海外が過半数となっているのに日本の事例が中心に報告されていることは、気がかりでした。

2016年度に売上利益1723億円をあげ、過去最高の株主帰属純利益の実現を果たされた富士フイルムホールディングスの経営業績は、極めて優れたものであり、不適切会計の影響も限定的でした。これまでの歩みを振り返っても、富士フイルムグループは、その技術力を生かしたイノベーションで、数々の困難な時代を乗り越えてきた企業グループです。そうした実績から見れば、本稿で表明した意見は、局所的もしくは的外れなものと映るかもしれません。ただ、時代は「儲けることを追求する企業」よりも「儲かることを追求する企業」を評価するよう変化しているように見えます。

富士フイルムグループが、真のエクセレント企業グループへと、一層の飛躍を遂げられることを期待申し上げております。

関連情報

PDF版のダウンロードは、こちらから。



ここからフッターです

ページの終わりです
ページの先頭へ戻る