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フラットパネルディスプレイ材料事業での取り組み

 

高度な品質管理と的確なニーズ対応で液晶ディスプレイ用フィルムの進化を牽引

薄型テレビやパソコン・モニター、携帯電話などさまざまな電子製品に使われている液晶画面。富士フイルムは1970年代から、高品質・高機能なフィルムの供給によって液晶ディスプレイの普及拡大を支えてきました。

※このページはサステナビリティレポート2010の記事内容です。

美しい写真の追求が最先端の液晶パネルにも生きる

[写真]富士フイルム 取締役 常務執行役員 FPD材料事業部 事業部長 阿部 久正

富士フイルム 取締役 常務執行役員
FPD材料事業部 事業部長
阿部 久正

富士フイルムが生産する写真フィルムは、透明度の高いベースフィルムの上に、20種類近い乳剤層(*1)が均等にコーティングされています。さらに生産効率を高めるため、すべての層を同時に塗るという極めて特殊で高度な生産技術が用いられています。富士フイルムのフラットパネルディスプレイ材料は、写真技術の優位性を活用し、ディスプレイ用に最適化されて開発されました。薄型テレビとして急速に普及が進む液晶テレビやパソコンのモニターには、富士フイルムが開発した機能の異なる特殊フィルムが何枚も使用されているのです。

富士フイルムは、1970年代の後半、液晶画面を身近な存在にした液晶電卓の登場からパネル用フィルムの提供を開始し、その後の液晶モニターやノートパソコンへの搭載に向けた大型化、カラー化、そして液晶テレビの発売・普及と、液晶ディスプレイの発展とともに歩み、フラットパネルディスプレイ材料事業部(以下、FPD材料事業部)として事業を拡大してきました。

FPD材料事業部が販売する液晶ディスプレイ用フィルムの主要製品は、液晶ディスプレイに不可欠な偏光板を保護するTAC(タック:トリアセチルセルロース)フィルム、視野角を広げるWV(ワイドビュー)フィルム、画面の反射を防ぐCV(クリーン・ビビット)フィルムや、色を再現するカラーフィルター用の転写フィルム(トランサー)などがあり、なかでもTACフィルムは世界80%弱、WVフィルムは世界100%のシェアを獲得しています。

富士フイルムの液晶ディスプレイ用フィルム材料がお客さまであるパネルメーカーから高い評価を得るに至ったのは、写真技術の優位性を活用し最適化した製品品質特性と、供給安定性に加え、お客さまとのコミュニケーションを大切にして市場ニーズの変化に迅速に対応、新製品開発、製品改良・改善をお客さまとともに進めてきたためです。

  • *1 約100種類の有機化合物からなり、その厚さは約15マイクロメートルに相当

液晶ディスプレイの断面図

[図]液晶ディスプレイの断面図

TACフィルムはCVフィルム、WVフィルムの支持体としても使用されている

強い競争力を生む高い品質と的確な生産拡大

[写真]富士フイルムのTACフィルム

左がPETフィルムを使用した偏光板(モアレ模様が発生)。右が富士フイルムのTACフィルムを使用した偏光板

従来から、写真フィルムに使われていたTACが液晶ディスプレイ用フィルムとして注目されたのは、他の材料に比べて透明度が非常に高いことにありました。液晶パネルの構造は、ガラスやフィルター、フィルムを何層もかさねられています。そのため、背面から当てたライトの光が通過して画面を映し出すには、途中に挟む部材の透明度が高いほど、ライトの光を有効に使えます。一方で、TACフィルムは天然素材を材料としているため、微細な異物が混じるという課題があり、それを高度に除去する技術をすでに確立していたため、富士フイルムのTACフィルムが高く評価されました。

また、画面大型化のニーズや、急増する需要にこたえるべく生産能力を積極的に拡大できたことが、富士フイルムの大きな競争力になっています。多くの部材を集めてつくられる液晶パネルは、その一つが欠けても生産が止まってしまいます。また、需要の拡大に迅速に対応できなければ、液晶パネルの普及拡大を妨げてしまうことにもなりかねません。

その点で富士フイルムは「供給責任」を常に意識し、液晶パネルの普及期から、液晶パネルメーカーのニーズや世界的な需要動向をとらえ、生産体制の的確な増強を行ってきました。そうして需要の急拡大においてもフィルムの安定供給を続けてきたことが、お客さまからの信頼となり、現在のトップシェアを支えています。

TACフィルムの生産は国内に集中
需要拡大を見据え世界の各市場に供給

液晶テレビの大型化と急速な普及により、面積ベースでのパネルの出荷量はここ数年20%以上の高い水準で伸び続けていますが、液晶テレビの世界的な普及率はいまだ30%ほどです。BRICsをはじめとする新興国など新たな市場への展開や、大型液晶ディスプレイを電子看板(デジタル・サイネージ)として用いるなどその用途には広がりがあり、さらに大きな成長が期待できます。そのため、富士フイルムは、液晶ディスプレイ用フィルムの拡大する需要をとらえつつ、お客さまのニーズにタイムリーにこたえながら、安定供給を図っていきます。

FPD材料事業部の中核製品である、TACフィルムやTACをベースに高機能化したWV、CVなどのフィルムは、極めて高度な生産技術と品質管理が求められることから、すべて国内3 カ所の工場(富士フイルム神奈川工場・富士フイルムオプトマテリアルズ・富士フイルム九州)で生産し、国内および世界の各市場へ出荷しています。富士フイルム九州には、敷地など生産能力拡充のための余裕は十分にあり、需要の拡大を見据えながら今後も的確な設備投資を行っていきます。

液晶ディスプレイの総需要(面積)

[表]液晶ディスプレイの総需要(面積)

2009年 米ディスプレイサーチ社調べ

富士フイルムのTAC生産能力

[表]富士フイルムのTAC生産能力

営業・開発・生産の一体化 お客さまとの関係をさらに強化

産業用材料である液晶ディスプレイ材料は、お客さまである偏光板メーカーやパネルメーカーと一体になった製品開発が欠かせません。私たちFPD材料事業部では、営業、生産、研究開発および生産技術の各担当が定期的に集まって情報や問題点を共有する一体的な事業運営を進めてきました。今後も、変化の激しいIT・テレビ市場にあって、お客さまのニーズを開発や生産に素早くつなげ対応することで、液晶ディスプレイ普及の一翼を担うとともに、事業の成長につなげていきます。

カーボンニュートラルな原料を調達してバイオマスマークを取得

原料調達における環境配慮

[写真]バイオマスマークの認定証(上)と製品ラベルへの使用例(製品名の下にバイオマスマークと登録番号を記載)

バイオマスマークの認定証(上)と製品ラベルへの使用例(製品名の下にバイオマスマークと登録番号を記載)

偏光板保護フィルムのTACフィルムや、視野角拡大の「WVフィルム」、映り込み防止の「CVフィルム」といった液晶ディスプレイパネル向け富士フイルム製品のベースとなるTACは、天然のセルロースを原料としています(原料中のセルロースの占める割合は約5割)。

現在、世界的に大きな課題となっているのが地球温暖化につながるCO2(二酸化炭素)の排出抑制です。一方、木などの植物はCO2を吸収しながら成長するため、廃棄・燃焼時に出るCO2は吸収した分と相殺されるカーボンニュートラルな原料であると認められています。そうした地球温暖化の抑制に寄与できる製品であることを示すため、富士フイルムは2006年、TACフィルムをはじめとする5製品について(社)日本有機資源協会からバイオマス製品の認定を受けました。

お客さまである偏光板メーカーやパネルメーカー間でも、グリーン調達などによって自社製品をより環境負荷の少ないものにしようという意識が高いこともあり、富士フイルムは適合製品には、製品ラベルにバイオマスマークを付けてお客さまにお届けしています。

製品の含有物質情報については、第三者機関の分析証明書を提供

製品の含有化学物質の情報提供

[写真]バイオマスマークの認定証(上)と製品ラベルへの使用例(製品名の下にバイオマスマークと登録番号を記載)

お客さまに提供する第三者機関の分析証明書。製品に含有する物質の濃度やその測定方法などが記載されている

液晶ディスプレイの高機能化が進むとともに、天然素材を原料とするディスプレイパネル用フィルムにもさまざまな化学物質が付加されるようになってきました。一方、フィルムを供給する偏光板メーカー等のお客さまはグリーン調達やCSR調達など、環境的・社会的に負荷の少ない原料・部材の調達に努めており、富士フイルムグループも対応を強化しています。

製品に含まれる化学物質については、国や業界などで規制を定めていますが、従来は各社の独自書式で供給先のメーカーに含有物質情報を報告していました。しかしサプライチェーン全体の立場になれば、独自書式が増えるほど、そのチェックや管理に多大な労力を要するため、FPD材料事業部では2009年より、富士フイルムを含む日本の17企業が発起人となって2006年9月に設立したアーティクルマネージメント推進協議会(JAMP)の規準に準拠することとしました。また、FPD材料事業部は、含有物質情報の客観性を高めるため、製品の供給先である偏光板メーカー等に、第三者機関の分析証明書も提供しています。

高機能フィルムの提供によって省エネルギーにも寄与

製品の省エネルギー貢献

ブラウン管テレビに比べて置き場所をとらず、重量も軽いスマートさが魅力の薄型テレビですが、消費電力が抑えられ環境負荷が少ないことも大きな特長です。

特に、薄型テレビの中でも液晶テレビの消費電力は、同じサイズのブラウン管テレビより約30%少ないことがわかっています。2009年に世界で販売された全液晶ディスプレイの出荷面積にあてはめてその省エネ効果をCO2換算すると、610万トンCO2(約121万世帯の家庭が1年間に排出するCO2量に相当)になります。

製品の製造から使用、廃棄までに至るライフサイクルアセスメントにおいて、テレビは特に電力消費、すなわち使用時の環境負荷が高いため、ブラウン管テレビが薄型テレビに置き換わることで、環境への貢献度は高くなります。

薄型テレビの普及が日本で本格的に始まったのは2003~2004年で、2010年には2人以上の家庭で70%の普及率(内閣府・消費動向調査)になりました。また、海外においても、薄型テレビが市場の主流を占めています。大型化や低価格化、画質の向上などによってこれだけの短期間に急速に普及しましたが、富士フイルムは液晶テレビに欠かせない各種フィルムを開発して、市場に供給することで、環境に貢献しています。

薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの出荷量およびブラウン管と比較した場合の電力削減量(試算)

[表]薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの出荷量およびブラウン管と比較した場合の電力削減量(試算)

* ここでは薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの値を使用
試算前提:液晶ディスプレイの電力は資源エネルギー庁発行の「省エネ性能カタログ2009年夏版」の32インチのモデル平均値を薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの出荷面積に換算した。また、液晶ディスプレイは同サイズのブラウン管より30%省電力と仮定

地域の環境を守る南阿蘇「水田お助け隊」に参加

生産サイトでの地域との協働

[写真]富士フイルム九州が協力した「水田お助け隊」の告知パンフレット

富士フイルム九州が協力した「水田お助け隊」の告知パンフレット

富士フイルムグループの液晶ディスプレイ用フィルムの50%以上を生産している富士フイルム九州(熊本県菊池郡菊陽町)では、地域の方々と地元の豊かな生活環境を守るべく、人的な交流や自然環境の保全などに積極的に取り組んできました。その一環として2010年には、南阿蘇村が主催する「水田お助け隊」に参加しています。

同村は、熊本県の代表的な観光地でもある阿蘇カルデラの南に位置し、富士フイルム九州のある菊池郡に隣接。稲作の盛んな土地ですが、農家の高齢化や後継者不足で近年、水田の維持が難しくなってきました。「水田お助け隊」は、そうした危機を乗り越えるために、田植えや稲刈りの手伝いを南阿蘇村が呼びかけていたもので、富士フイルム九州では社内に広く告知して、今回は従業員約50名の参加になりました。

水田が荒廃すれば、大切な日本のふる里の景色が失われるだけでなく、水田の保水機能が低下し、洪水が起きやすくなったり、湧き水が減るなど、さまざまな弊害が発生します。「水田お助け隊」への参加は、地域社会の一員として地元を支えるための具体的な行動であり、従業員やその家族の環境意識の向上に役立っています。

[写真]田植えの風景

田植えの風景

[写真]参加者全員で記念撮影

参加者全員で記念撮影

※このページはサステナビリティレポート2010の記事内容です。



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