ヘルスケア事業での取り組み
独自の技術とグループの連携により人々の健康と医療の高度化に貢献
富士フイルムは1930年代からX線フィルムを通じて医療とかかわってきました。以来、技術を高め領域を広げ、予防~診断~治療までの総合力を備えたヘルスケア事業は、グループの重要な成長分野となっています。
※このページはサステナビリティレポート2010の記事内容です。
ヘルスケア事業での取り組み
予防~診断~治療に対応する総合ヘルスケアカンパニー
![[写真]富士フイルム 代表取締役・専務執行役員 ヘルスケア事業統括本部長 高橋 俊雄](pack/images/index_img_02.jpg)
富士フイルム 代表取締役・専務執行役員
ヘルスケア事業統括本部長
高橋 俊雄
富士フイルムグループが重要な成長分野の一つに位置づけているのが、人々の健康や命にかかわる製品・サービスを提供するヘルスケア事業です。富士フイルムのメディカルシステム事業部が「診断」、ライフサイエンス事業部が「予防」、医薬品事業部と富山化学工業が「予防」と「治療」、放射性診断薬を手がける富士フイルムRIファーマが「診断」と「治療」を担うなど、健康の維持、病気の早期発見、そして治療までのヘルスケア全般に、独自の技術を生かして対応しています。
富士フイルムは創業まもない1936年から、レントゲン写真のフィルムを通じて医療の中でも「診断」と深いかかわりを持ってきました。その技術は時を経て進化を遂げ、現在ではデジタルX線画像診断システムや内視鏡、血液診断システムなどをもカバーするに至りました。さらに、病院内で患者さんの診断・治療情報を共有する医用画像情報ネットワークシステム(国内トップシェア)を提供し、同一病院だけでなく、医療機関連携のプラットホームとしても活用され、遠隔医療にも役立っています。
写真フィルムで培った技術が医薬品やヘルスケアにも生きる
予防」領域では健康維持やアンチエイジングに役立つサプリメント、スキンケア化粧品なども市場に提供、「治療」領域では放射性治療薬や医薬品原薬のほか、医療用医薬品の開発・製造も行っています。
これら「予防」「治療」領域も従来の事業の延長上にあるもので、富士フイルムが写真フィルムの開発・製造を通じて培ってきた多様な技術の応用から生まれています。写真フィルムの感光層は、人の皮膚や骨、じん帯などを構成するたんぱく質の一つであるコラーゲンを主原料としています。写真フィルムで蓄積された技術は人体のメカニズムの理解やコラーゲンの人への活用に用いることができます。例えば、写真フィルムに不可欠な微細な粒子を思いどおりにコントロールするナノ技術は薬の成分の調合などに応用され、写真プリントの色あせを防ぐ抗酸化技術は、老化やがんの原因になるとも言われる活性酸素の抑制技術に展開することが可能です。
ヘルスケア事業の広がり
あらゆる人たちのクォリティ オブ ライフ向上のために
独自の技術を持つことが富士フイルムグループのヘルスケア事業の強みです。そして、それぞれの事業部とグループ企業が連携し、「予防」「診断」「治療」の各領域を結びつけることで、富士フイルムグループの強みはさらに強固なものとなります。
メディカルシステム事業部と富士ゼロックスが協働で行っている、ITソリューションを利用した病院の経営支援や診療作業の効率化については、さらに各種の医療機関をネットワーク化させれば、中核病院と地域クリニックとが連携した効果的な医療体制を構築でき新興国などでも支援していける分野です。また、内視鏡と医薬品、または放射性診断薬、抗体医薬品などを組み合わせることで、患部だけを集中的に治療する局所療法への可能性が拓けます。局所療法は、副作用を抑える効果も期待される一方で、患者さんの負担軽減にもつながるからです。
サプリメント等で健康を維持し、診断精度の向上や診療作業の効率化を図りながら、新たな治療法も開発して、人々の「クォリティ オブ ライフ」の向上に貢献するために富士フイルムグループのヘルスケア事業は、今後も積極的な活動を続けます。
医薬品事業
拡充が続く医薬品の開発・販売体制
![[写真]富士フイルム 取締役 常務執行役員 ヘルスケア事業統括本部 医薬品事業部長 戸田 雄三](pack/images/index_img_03.jpg)
富士フイルム 取締役 常務執行役員
ヘルスケア事業統括本部
医薬品事業部長
戸田 雄三
2008年に富山化学工業が加わったことで、富士フイルムグループのライフサイエンス事業は体制強化が大きく進み、グループ内における医薬品の技術やビジネスへの理解も飛躍的に高まりました。富山化学工業が毎年開催しているシンポジウムには富士フイルムの技術者も参加し、研究・開発現場にも人材が行き来して活発に交流。シナジー効果が生まれて創薬に結びつき、毎年1~2つの新薬が誕生しているほか、新型インフルエンザ治療薬「T-705」など有望品目の開発も着々と進んでいます。
2009年6月には富士フイルム医薬品研究所(現 医薬品・ヘルスケア研究所)を設立。富山化学工業が感染症治療薬を専門とするのに対し、医薬品研究所では画像診断やFTD(*1)技術を核として、主にがん治療薬の研究開発に取り組んでいます。続いて11月には富士フイルムファーマを設立しました。同社は付加価値の高いジェネリック医薬品の開発・販売から事業を開始、将来的には新薬も手がける総合医薬品会社への発展を目指しています。
*1 必要な成分をバランスよく配合し(Formulation)、必要な場所に(Targeting)、必要な形で届ける(Delivery)という、富士フイルム独自の技術コンセプト
メディカルシステム事業
各診断機器の高性能化とともにネットワーク化にも注力
![[写真]富士フイルム 執行役員 ヘルスケア事業統括本部 メディカルシステム事業部長 中村 和夫](pack/images/index_img_04.jpg)
富士フイルム 執行役員
ヘルスケア事業統括本部
メディカルシステム事業部長
中村 和夫
メディカルシステム事業は「デジタルX線を中心とした画像診断機器システム」「内視鏡」「ITソリューション」「血液診断」の4つの分野を中心に事業を行っています。近年、医療機関では画像や診療情報などを一元管理・運用する動きが目立っており、4つの分野の連携は重要なテーマとなってきました。
情報共有の基盤として、私たちはX線画像のネットワークシステム「SYNAPSE(*2)」を提供し好評を得ていますが、高度化するニーズにこたえるため、3D画像や循環器画像、内視鏡画像など画像の取り扱い範囲を拡大するとともに、各種検査画像、診断用レポートなどを統合的に閲覧できるシステムの提供を開始。さらに、治療歴や検査歴などの診療記録も加え、診療・業務など病院内の幅広い情報を統合管理するITシステムの普及を進めています。こうした取り組みの強化を目指し、2009年10月に各機器・システムの開発拠点を一つにまとめたメディカルシステム開発センターを設立しました。
*2 放射線部門向けに開発した、統括的に画像情報を管理・運用するためのネットワークシステム
※このページはサステナビリティレポート2010の記事内容です。
![[図]事業の拡大 予防~診断~治療](pack/images/index_img_01.jpg)