印刷分野での取り組み:取り組み内容のご紹介
CTP(コンピューター・トゥー・プレート)の変遷
印刷分野の技術革新による環境負荷の低減
富士フイルムは、長年にわたり、製版フィルム、オフセット印刷向けPS版・CTP版、プレートセッター、プリプレス用各種ソフトなど、多岐にわたる印刷材料・機器の開発、生産、販売を手掛けてきました。特に現在需要が拡大しているCTP版に関しては、ワールドワイドでのマーケットシェアを40%に引き上げるべく、生産・販売体制の強化を行っています。
オフセット印刷では、かつては製版時に製版フィルムを大量に消費していましたが、文字情報と画像情報をデジタル化してコンピューターで処理するDTPワークフローの登場によって効率化が図られ、最終のデジタルデータを製版フィルムに出力するCTF方式を経て、近年では製版フィルムも使用せず直接プレートに出力して印刷版を作成するCTP方式が一般化してきました。この技術革新は、製版工程で大量のフィルムや印画紙を使用していた四半世紀前と比較して、CO2排出量が約2/3削減されました(下図をご参照ください)。
富士フイルムでは、このフィルムレスのCTP方式をさらに進化させ、現像工程が不要の「完全無処理CTPプレート(以降、無処理CTP)」を開発し、現像廃液や現像工程におけるCO2発生もなくなりました。
今後、無処理CTPの品質向上に努め、無処理CTPの普及を通じて、環境対策、化学薬品によるリスクと作業負荷の低減に取り組んでいきます。また、印刷分野のさらなる技術革新に積極的に取り組み、環境負荷の低減を通じて社会に貢献していきます。なお、本レポートも、この無処理CTPによる最新のシステムで製作されています。
- 富士フイルムグラフィックシステムズ株式会社

富士フイルムグループのクロスメディアのソリューションデザイナーとしてリードする会社です
四半世紀にわたる製版プロセスの進歩と環境負荷(CO2)の低減
PS版・CTP版の廃材アルミのクローズドループリサイクル技術を確立
CO2の大幅削減へ
アルミは、一般的にリサイクルが進んでいる素材といわれています。しかし、オフセット印刷用のPS版・CTP版の基板には高度な印刷適性を実現するために、高い純度のアルミが必要で、リサイクルアルミを使用することは不可能でした。このため、富士フイルム吉田南工場で毎月数100トン余り発生する廃材アルミは、純度の低い他の用途にリサイクルする「カスケードリサイクル」が行われていました。ところが、アルミは「電気の塊」の異名を持つ金属であり、精錬過程で大量の電力を使用します。そこで富士フイルムは、従来不可能であったアルミの循環利用を実現することによって、大幅なCO2排出量の削減が可能になると考え、廃材アルミを再生して再び高品質なPS版・CTP版の製造に使用(これをクローズドループリサイクルと言います)するための技術研究を長年重ね、2007年10月に実用化しました。
アルミは、微量金属が混入して純度の低い合金になってしまうと、再び微量金属を取り除いて高い純度に戻すことはできない性質があります。このため、このままカスケードリサイクルを続けていくと、低純度化されて行き着く先を失ったアルミ資源が溢れていきます。一方、新興国での需要拡大などの理由で、他の金属同様「資源争奪」の対象となりつつあります。したがってこの事業には、人間生活の重要インフラである印刷産業の持続的発展のために、「限りある高純度アルミ(資源)の保全」という大きな意義もあります。富士フイルムでは、今後も環境と社会の持続的発展のために一歩先行した施策に積極的に取り組んでいきます。
廃材アルミのクローズドループリサイクルの流れ
![[図]廃材アルミのクローズドループリサイクルの流れ](pack/images/activity_img_02.gif)
- リサイクルアルミを生産工程で使用した場合、精錬からPS版・CTP版の製造までに発生するCO2排出量を、74%削減できます。
- 吉田南工場で発生するPS版・CTP版の廃材アルミを、すべてクローズドループリサイクルすると、CO2排出量を最大で、年間約6万5千トン削減できる見込み。この数値は、2006年に同工場が排出したCO2量の87%に相当します。2007年度は、4万トン、2008年度は、3万8000トンのCO2を削減しました。
VOICE
純度99.5%を実現する基盤技術を確立
あらゆる壁を克服し、「実現できる!」を提示
![[写真]富士フイルム吉田南工場 製造部(手前中央)大岸良夫(後列左より)長田正和、吉川直紀、主任技師山崎徹](pack/images/activity_img_03.jpg)
富士フイルム吉田南工場
製造部
(手前中央)大岸良夫
(後列左より)長田正和、吉川直紀、主任技師山崎徹
再生地金を製造してくれる協力企業を得るには、技術確立などの準備も含めると4年程度を要しました。PS版・CTP版には、純度99.5%で、微量金属などわずかに組成が異なる13種のアルミが必要でした。純度99.5%の再生という極めて管理幅の狭い高純度の再生アルミを実現するため、アルミを取り扱うメーカーの発想にはない、わたしたちの独自技術で、基盤技術を確立し、実現の現実性を提示したことが大きな強みとなりました。対話を繰り返し、品質保証への不安の壁を取り除き、合金メーカーの採算性などの壁を克服する仕組みも整えました。
また、合金の次の工程に関わる圧延メーカーには、再生地金の品質一般に対する根強い不信感があり、これを払拭するため、リサイクル実現の現実性をデータで提示し、本リサイクルは環境対策であり、枯渇資源であるアルミに、ともに携わるパートナーとして、将来に向けた必要性を繰り返し訴えました。試行錯誤の連続でしたが、わたしたちが成し遂げたことは、意義ある取り組みであったと、改めて実感しています。
プリントサーバ開発プロジェクト
富士フイルム・富士ゼロックスのシナジー
![[写真]開発プロジェクトメンバー](pack/images/activity_img_04.jpg)
開発プロジェクトメンバー
![[写真]プリントサーバ「PX5000Print Server」が搭載される富士ゼロックスの「DocuColor5000 Digital Press」](pack/images/activity_img_05.jpg)
プリントサーバ「PX5000Print Server」が搭載される富士ゼロックスの「DocuColor5000 Digital Press」
印刷業界から高い評価をいただいているプリントサーバ「PX5000 Print Server」(2007年2月発売)を紹介します。これは、デジタルオンデマンド印刷の色管理から出力作業の工程までコントロールする「プリントサーバ」です。これまで、富士フイルムと富士ゼロックスにはそれぞれ特長のあるプリントサーバが存在していました。これらの特長を融合し、製品化したのがプリントサーバ「PX5000 Print Server」です。「PX5000 Print Server」は両社の技術を融合し、開発費を抑えながら高性能を顧客に提供し、かつ両社から販売するなど、グループシナジーのメリットを実現した製品です。
![[図]四半世紀にわたる製版プロセスの進歩と環境負荷(CO2)の低減](pack/images/activity_img_01.gif)


