ライフサイエンス事業での取り組み
予防から診断、治療までに関わる総合的なライフサイエンス事業へ
検査システムや検査薬、機能性食品・化粧品に加えて医薬品ビジネスへ参入し、富士フイルムグループのライフサイエンス事業は、予防・診断・治療の主に3つの領域に事業を展開しています。
“生命を写す”だけでなく“生命を守り”“生命を癒す”
![[写真]富士フイルム 取締役 常務執行役員 ヘルスケア事業統括本部 副本部長 兼 ライフサイエンス事業部長 戸田 雄三](pack/images/index_img_02.jpg)
富士フイルム 取締役 常務執行役員
ヘルスケア事業統括本部 副本部長 兼
ライフサイエンス事業部長 戸田 雄三
創業間もない1936年からレントゲンフィルムの販売を開始し、今ではX線検査システムや超音波画像診断装置、電子内視鏡といった検査装置でもワールドワイドで事業展開、富士フイルムグループは以前から医療と深い関わりを持ってきました。そして近年、築き上げた技術的・事業的な基盤を生かしつつ医療や健康をビジネスの新たな柱に加えるべく積極的な拡大戦略を推し進めています。
すでに多くの実績がある診断領域の事業は、いわば“生命を写す”もの。さらに“生命を守る”予防や、“生命を癒す”治療の領域にも手を広げ、様々な面から“生命”に関わっていくことが富士フイルムグループのライフサイエンス事業の目指すところです。
形態のイメージングから機能のイメージングへと進む画像診断
例えばX線での結核検査なら炎症部を写すことにより状態を判断するといったように、これまで富士フイルムグループが得意としてきた診断は“形態”のイメージングでした。そしてこれを“機能”のイメージングにまで広げたのが2007年の富士フイルムRIファーマの発足です*1。同社は放射性医薬品のエキスパートであり、既存の診断システムと組み合わせることによって臓器の働きや病巣内部の状態など体内組織の機能までを診ることが可能になりました。
さらに放射性医薬品の導入は、診断の高度化だけにとどまりません。放射性医薬品はがんなどの病巣部を認識することで診断を助けますが、その薬剤に病原を抑える機能を加えれば治療へと発展させることができるのです。この取り組みを強化するため、2009年2月には抗体医薬品*2の創薬ベンチャーであるペルセウスプロテオミクスへの出資比率を75%以上まで引き上げ、子会社化しました。富士フイルムグループではこのように、形態に機能のイメージングをプラスして診断を進化させるとともに、診断と治療の合体までをも目指してライフサイエンス事業の拡大を進めています。
- *1 (株)第一ラジオアイソトープ研究所の株式取得・社名変更により発足
- *2 生命に備わっている免疫機能を活用し、特定のたんぱく質と結びつく「抗体」を活用した医薬品
![[写真]形態のイメージングから機能のイメージングへと進む画像診断](pack/images/index_img_01.jpg)
富山化学工業をグループに迎え「治療」と「予防」領域の展開も加速
「治療」領域についてはまた、2008年に富山化学工業をグループの一員に迎えて大きな前進を果たしました。同社は1936年の設立以来、合成技術をベースに成長を遂げ、現在は「抗感染症」「中枢・循環器」「抗炎症」を核に業界屈指の新薬上市率を誇っている研究開発型企業。富士フイルムには写真フィルムの研究開発を通して20万種を超える化合物ライブラリーがあり、この医薬品の“元”になる貴重なライブラリーを富山化学工業の技術に結びつけることで、創薬の幅とスピードを飛躍的に高めていく計画です。
また、富士フイルムが培ったFTD技術*3は医薬品のドラッグデリバリー技術*4と重なる面が少なくありません。FTD技術により薬剤を必要な場所まで適量・的確に届けることができれば副作用の心配も少なくなり、創薬の自由度を飛躍的に高めることが可能になります。
一方、コラーゲン研究や抗酸化技術から生まれた化粧品「ASTALIFT(アスタリフト)」と、機能性食品「メタバリア」「オキシバリア」を中心とした「予防」領域についても、拡大発展を加速させていく考えです。
- *3 成分・素材を目的に合うよう機能的に配合し(Formulation)、新鮮かつ安定した状態で狙った場所へ(Targeting)、タイミングよく適量を届けて効果を持続させる(Delivery)という技術コンセプト
- *4 目標とする患部まで薬物を効果的に届けるための技術
グループの医療事業とのシナジー
![[図]グループの医療事業とのシナジー](pack/images/index_img_03.jpg)
Synergy
人材交流
異業種連携による新薬創出に向け研究者の人材交流も活発化
![[写真]共同研究のメンバー](pack/images/index_img_04.jpg)
共同研究のメンバー
2008年3月のグループ参加以降、富士フイルムと富山化学工業の間ではFTDに関する共同研究、20万種におよぶ化合物ライブラリーの創薬面からのスクリーニング、イメージング技術の応用研究、生産の効率化、知的財産関連など多くの共同プロジェクトが動き始め、相互の研究施設に研究者を派遣しあうなどの人材交流も活発化してきました。化学メーカーと創薬企業という異業種連携のメリットを最大限に生かすために、今回の人材交流で基本としているのは互いの専門性を尊重しあう“respect each other”の精神。富士フイルムの研究者は富山化学工業に赴任してモノづくりにかける粘り強さや集中力、新しい情報に対する柔軟性に刺激を受け、富山化学工業の研究者は富士フイルムが培ってきた「信頼」を重んじる品質文化に感銘を受けるなど、企業文化やモチベーションの面でも相乗効果が生まれ始めています。
動物実験
グループ各社の連携を強化して研究での動物福祉を徹底
![[写真]水中生物(ミジンコ)を使った環境安全試験について情報交換](pack/images/index_img_05.jpg)
水中生物(ミジンコ)を使った
環境安全試験について情報交換
化学品や医薬品を開発する過程では、人体への安全性や有効性を確かめるため、ときに動物を用いた実験が必要になります。しかし動物福祉の面から、動物実験は本当に必要なときだけ適切に行うべきものであり、当社グループでは「動物の愛護および管理に関する法律」を順守するため、各社それぞれの動物実験施設で動物実験に関わる規程を定め、動物実験委員会を設置して厳格に運用するとともに、グループとしても「動物倫理規則」のもと動物倫理委員会を設け、適正な動物実験を実施してきました。さらに2009年3月には、動物実験を行っている富士フイルム、富士フイルムRIファーマ、富山化学工業の各社に、富士ゼロックスを加え、より研究部門に近いメンバーが集まって「動物倫理」および「環境安全」に関して情報交換を行いました。今回の成果を踏まえ、こうした会を定例化し、一層の情報共有や動物実験に関する運営の改善を進め、動物実験の3R(Replacement:代替法の利用、Reduction:動物利用数の削減、Refinement:苦痛の軽減)を促進していく考えです。




