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健康

 

※このページはサステナビリティレポート2017の記事内容です。

<トピックス3>感染症への取り組み
マイコプラズマ肺炎の早期診断と治療に貢献

[画像]重点課題2・3

[図]感染症への取り組み 2014-2016年活動経過

「マイコプラズマ肺炎」は、気管支や肺胞の外部の間質で炎症を引き起こす肺炎の一種で、その原因となる細菌が「肺炎マイコプラズマ」です。小児や若い人が比較的感染しやすく、患者の約80%が14歳以下です。感染から発症までの潜伏期間は2~3週間と長く、咳からも感染するので、家庭や学校等で感染が拡がります。多くは軽い症状ですみますが、中には重症化するケースもあります。菌量が少ない状態で抗菌薬を投与すれば、症状の重篤化や二次感染を防ぐことができるため、医療現場では、発症初期での迅速で正確な診断が求められていました。

富士フイルムは、写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅技術を応用することで、2011年に高感度でインフルエンザウイルス抗原を検出できる「超高感度イムノクロマト法インフルエンザ診断システム」を販売開始。発症初期のわずかな量のインフルエンザウイルス抗原でも検出を可能にした独自技術が高く評価され、医療機関への導入が進んでいるほか、様々な感染症検査への応用が進んでいます。2016年に発売したマイコプラズマ抗原検査キットも、一般的な診断薬よりも高感度にマイコプラズマ抗原を検出することが可能で、発症初期など菌量が少ない状態における検出精度が大幅に向上しました。一方治療面では、マイコプラズマ肺炎はマクロライド系抗菌薬によって治療されていますが、近年、通常使用される抗菌薬に耐性を示す菌が増加しています。こうしたなか2017年3月、富士フイルムグループの富山化学工業が開発したニューキノロン系経口抗菌製剤「オゼックス®細粒小児用15%」(*)が、適応菌種に「肺炎マイコプラズマ」を追加する承認を取得しました。また富山化学工業では、既存のマクロライド耐性の肺炎球菌や肺炎マイコプラズマに対して強い抗菌活性を示し、次世代抗菌剤として期待されているフルオロケトライド系抗菌薬「T-4288」の、日本における臨床試験も行っています。

薬剤耐性菌が増加する一方、新たな抗菌薬の開発は国際的に減少傾向にあり、課題となっています。2015年世界保健総会での「薬剤耐性(AMR)に関するグローバル・アクション・プラン」の採択を受け、日本でも2016年4月に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」が決定され、感染症対策の整備が急がれています。富士フイルムグループは国際的な重要課題の一つである「感染症」に対して、今後も診断・治療の両面から取り組んでいきます。

* オゼックス®細粒小児用15%:1990年より経口剤(錠剤)として販売している「オゼックス®錠」を小児科領域の学会からの要望を受け小児用細粒剤として開発したもの。2010年より販売

[写真]ウイルスや細菌などの抗原の有無を自動判定するデンシトメトリー分析装置「富士ドライケム IMMUNO AG1」

ウイルスや細菌などの抗原の有無を自動判定するデンシトメトリー分析装置「富士ドライケム IMMUNO AG1」

[写真]専用の体外診断薬となるマイコプラズマ抗原検査キット「富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ Myco」

専用の体外診断薬となるマイコプラズマ抗原検査キット「富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ Myco」

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