
予防~診断~治療までの領域をすべてカバーする総合ヘルスケアカンパニーを目指す
富士フイルムホールディングスは、2008年3月に富山化学工業を連結子会社とし、これを足がかりに医薬品事業に本格参入しました。この参入により、事業領域を「診断」「予防」分野から「治療」分野まで拡大し、これらの領域すべてをカバーする総合ヘルスケアカンパニーへさらに大きく成長していきます。

富士フイルムは、医療分野の「診断」分野において、70年以上の歴史を持つレントゲン検査があり、独自のイメージング技術とM&Aにより超音波診断、内視鏡検査、核医学検査へと医療画像診断事業を拡大してきました。
また、写真フイルムの開発の中で培ってきたファインケミカル技術、ファインケミカルプロセッシング技術を活用して、機能性化粧品、機能性食品など、「予防」分野でも事業を展開しています。
そして、今回の富山化学の子会社化により、当社の経営基盤、有機合成技術や解析技術などの技術力と富山化学の創薬力が融合することで、異業種だからできる創薬アプローチで新薬を開発し、医薬品事業の拡大を図ります。
富山化学は医療用医薬品の開発力に優れ、業界屈指の新薬上市率を有していますが、これまで旺盛な研究開発費のための財務基盤や海外販売ネットワークに課題があり、有望な新薬候補をいくつも持ちながら、開発途中にライセンスを譲らざるを得ない状況にありました。今後は、富士フイルムの研究開発力、財務基盤、海外ネットワークを最大限に活用し、有望な新薬を育て、両社の企業価値の最大化を図っていきます。
技術のシナジーについては、富士フイルムが写真フイルムの開発の中で培ってきた独自技術の1つ「FTD技術」の創薬への活用があります。FTDとは、機能的に配合した成分もしくは素材を(Formulation)、新鮮なまま安定した状態で狙った場所に(Targeting)、タイミング良く適量を届け、効果を持続させる(Delivery)という技術コンセプトです。これには、素材をナノレベルまで微細化し、分散・安定させるナノ粒子形成技術などが盛り込まれています。この技術を活用し、薬の成分を患部に効率よく届ける治療薬の開発や、複数の投与方法の選択肢を提供できるようになるなど、創薬化の可能性が広がり、創薬パイプラインの価値の最大化を図ることができます。
また、医薬品事業は長期にわたり高額な研究費用を投じるとともに、新薬候補化合物の枯渇や、臨床試験における低い成功確率などの課題にも対応していかなければなりません。富士フイルムには写真フイルムの開発で培ってきた約20万種の化合物ライブラリーがあり、このライブラリーを富山化学と協同で薬理活性の視点からスクリーニングすることで、新たな新薬候補化合物が生まれる可能性があります。
また、富士フイルムの有機合成技術を活用し、化合物特性を改変することによって薬効や毒性のコントロールを行うなど、創薬の確度を高めていくことも考えられます。さらに、薬理評価では、富士フイルムの解析技術に加え、イメージング技術(画像診断技術)を駆使することで、臨床試験の成功確率を高めていくことも期待できます。
このように高度な創薬力を持つ富山化学は、大きなシナジーを発揮できる最適なパートナーであり、両社で取り組む「異業種連携による新薬創出モデル」の実現で、新規医薬品を生み出し、この事業を大きく成長させていきます。